その女性は末期ガンと言われて入院した。しばらくして、治療の方法がないから退院を勧められたが、自宅で一人暮らしはムリだった。肺からの出血と脳梗塞の再発は薬の調節が難しい。時々訪ねてくる孫の母親に退院の話をした。彼女は息子の元妻だった。息子は、ヤクザな仕事で借金を重ね、地元の借金取りから逃げていると聞いていたが、自宅に届いた葉書の住所は九州の刑務所だった。借金取りが駆けつけて大変だったと言うことだから、元嫁に話すことではないがと、退院の話をした。しばらくして、元嫁から自宅で引き取って母と一緒に看病します連絡が入った。母は仕事がないから看病してくれると言っていますと。本人にその話を伝えると、息子が迷惑を掛けたのに私まで世話になることは絶対にできないから施設を探してくれとはっきり言う。
施設は遠かったから孫が面会できたのは、亡くなる数日前の1回だけだった。葬儀社の霊安室で、一緒に布団で寝ている孫を見て、どのような姿のおばあちゃんが残されいるのだろうか考えていた。

0 件のコメント:
コメントを投稿