
誰かが入ってきて品物を隠して困る。気味が悪くて頭がおかしくなると言い出した義母の様子を見るために帰省してきた。
娘からの贈り物だからと渡した新しい下着が、朝にはタンスに入っていた。朝方3時頃ごそごそ動いている音がしたから義母が自分でタンスに入れていたことは間違いない。大切だというと気になって、盗まれないように隠してしまう。眠っている間に思い出して、見つからないように隠してしまう。背の高い男の人がいたずらするというから、どんな顔だったと尋ねると、会ったこともないのにわかるはず無いじゃない。
鍵がかかっているのにどうやって入るの? 合い鍵が作れるでしょう。
合い鍵が作れないぐらい複雑な鍵を使ってるから入れないよ。 じゃ家の中にずっと隠れて居るんだ。
妄想はどんなに説得しても納得してもらえない。だから無意味な会話を繰り返して子供たちは疲れ果ててしまった。
運良く、物忘れ外来の医師に診察してもらうことができた。本人は、今度こそ間違わない。100~7引いて93、そして又7を引いて…。野菜の名前を聞かれたらバナナなんて言わないからと張り切って問診に臨んだ。おかげで色々なテストは正常と言える点数をとった。ほっとしたのか、うちには変な男の人が入ってきて困っているといつもの話を始めた。医師は、そりゃ困ったねと頷いて聞いてくれた。2時間近くたって、医師と私の2人で相談をすると、点数はともかく立派な認知症と言うことになった。
本人は合格点をもらったと喜んでいるが、男の話だけで認知症の合格点なんだけど。
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