介護保険が始まってすぐ、認知症がある一人暮らしの老人宅を訪ねた。娘が帰省していて、大阪の自宅に引き取るという。母親は、台所に行ってお茶を入れてくると、どなたですかと初めてあったように訪ねる。娘と話している間に、玄関から外へ出てしまう。近所の人からどうにかしてほしいと娘に電話があったらしい。娘の家はマンションで、ひ寝間は共働きでも母親は一人で過ごすことになる。できるだけ介護度を上げて毎日デイを使えるようにしてほしいと言う。今まで住んだことのない都会で暮らすのはお母さんにとって良いことではないし、認知症の老人が同居すると娘さんたちの今までの生活が壊れますよと説明したが、翌日には大阪に連れ帰った。認知委結果を郵送する時に、娘に電話して近況を訪ねると、認知症が進行して部屋から一歩も出ない生活を送っている。疲れ果てた声で、これで毎日デイに行けますと礼を言われた。同僚と、なぜこちらで生活を続けさせないのだと、家族に批判的な話をしたことを覚えている。
認知症が始まった老親をどう介護するか、特に遠距離介護できるか、介護保険が始まっても難しさは変わらない。変更申請して1ヶ月過ぎるのにまだ結果が出ない。その間認知症による問題行動は、近所と家族を悩ませる。こんなことなら施設に入れようと、息子から電話がある。問題が起きたり受診する時には死せ桂家族に連絡がある。納得していない母親は、家に帰りたいと言い続ける。施設を追い出されたら、次はどこで住むことになるのか。遠距離介護をしたことで厚生大臣にもなった大学教授は、お金もあり休暇も取りやすかった。誰が同じことができるのかと愚痴が言いたくなる。
来月受診する日、格安切符がとれない。飼っている小鳥を世話する人がいないと息子から電話があって、あきれかえってしまった。

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