義母は、ちょっと前の事を覚えていないことがある。いつも記憶がないわけではないし、物が見つからないのを人のせいにする。朝居間に行くと、茶の葉がないと探し回っている。孫たちも加わって家捜しが始まってしばらくしたら、一休みしようといすに座った義母の手にはお茶缶が握られていた。
正月は道が混雑するし、雪で通行止めもあるから早めに出発しようと準備している最中に、家のカギがない。金庫のカギも、財布も……と始まった。ベッドの中から押し入れやタンスと手分けして探すが、時間が過ぎていくばかり。家の中はほとんど探したと思った時、義母の椅子の後ろにバッグがあることに孫が気づいた。娘は、私たちを帰らせないためにカギがないと言うのだと険悪な顔つきになる。
一時間遅れで出発し、往路の二倍の時間をかけて帰り着いた。自宅の留守電に、保険証が見つからない。持って帰ったんじゃないかと義母の声が入ってた。
もう絶対同居はできないと娘は言いながら留守電を消去する。

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