聾唖者であるNさん、従姉妹さんの話しでは、今は亡きご両親に ずいぶんと甘やかされて育ったらしい。ご両親は生まれつき障害のある我が子を溺愛したと言う。彼女を担当して半年になるが、ハッキリと好き嫌いを表現する。言葉を話せないから曖昧な表現は彼女にはできないのだろう。特に太った人は嫌いならしく、一緒に外出しているときに太った人を見ると 指さして自分の手元でバツを作り こっそりアカンベをして見せる。その人に気づかれないかとヒヤヒヤしながら、「そんなことは失礼だよ」と身振りで知らせるが、彼女は素知らぬ顔をしている。もちろん食べ物の好き嫌いもハッキリしていて、メニューによっては大きなバツを何度も作ったり、逆に子供のように頭の上でオッケーサインをくれる。ヘルパーさんは彼女の審判に一喜一憂しながら 毎日 彼女の血糖値管理を考慮した食事を作ってくれている。
「オッケーサインをくれた時は ホントにホッとする。野菜は嫌いだし、甘いものやお肉を好むけど そればっかり食べてたら病気が悪くなるし..。アカンベされたら ガックリきて、やる気なくなるときもありますよ」
いやはや、大変なのは目に浮かぶ。本当にありがとうございます。彼女も頭の良い方だから、心の中ではヘルパーさんに感謝されていると思います。
ヘルパーさんは 続けて言った。「でもね、彼女はワガママで子供みたいなところがあるけど、帰るねと言うと必ず私の手をなでてハンドクリームを塗ってくれるんです。だから明日からも行こうって思うの」
やっぱり従姉妹さんが言ってたのは本当だったんだ。ご両親から大切に大切に育てられたんだってこと。
今日はリハビリシューズを一緒に選んだ。彼女曰く、バリッとマジックテープになってるのは オバさんぽくて嫌ならしい。彼女が選んだのは ベージュ色のちょっと見た目ではリハビリシューズには見えないようなシンプルなタイプだった。「春らしくて これだと素敵ね」と言ったら 頭の上で大きなオッケーサインを出してくれた。

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