地方紙の俳句の欄に知人の名前を見つけた。「初夏の風」と「しみ」。
知人とは20代の時、手話サークルで知り合った。彼の兄が聴覚障害者だから手話のうまさでは勝てる相手ではない。聴覚障害者とけんかができないと対等な関係とは言えないという私に、なぜけんかする必要があるかと一晩中問い詰められた。その後、病気で視力を失った。それでも手話の講師をしていると彼の奥さんから近況を聞いていた。薫風は感じるのに老斑は自分で知ることができない。「声」の主は奥さんだろうか。仲良く海岸の道を散歩している二人を想像してみる。

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