A-Zというホームセンターは地下足袋から、仏壇、自動車までそろっている。そのなかで、五右衛門風呂がある。説明文には「アウトドア用品」とある。なるほど、室内で薪を焚くわけにいかないよね。
祖父母の家は庭に風呂があった。祖母は夜中に入浴していた。鹿児島では女は最後の風呂に入るものだと祖父は言ってた。男尊女卑の風土でさぞかし祖母は堪え忍んだ生活を送っていたのだろうと思っていた。祖父は、地域の役を引き受けて、外面は良かったが、子供を叱るときは冬であっても縁側から庭に蹴り落として閉めだしてたというから、亭主関白というより暴力父親だった。祖母は、現代の女性より自己主張することなく、言われるままに動いて家事や農業、それに漁業までしていたように見えた。
ところが、祖父が亡くなってから、祖父以上に頑固でわがままだと言うことが判ってきた。叔父たちは、あんな親父と一緒に暮らすからには、親父以上に気が強くないと生きていけなかったのだと、余計に家に寄りつかなくなった。
海の近くにあった祖父母の家では、近所の林から松の葉や枝を集めて風呂を沸かした。だから、松の葉の燃える臭いは、祖父母を思い出させてくれる。

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