2012年7月10日火曜日

人生


警官から同僚のケアマネに電話があった。最近姿を見ていないと近所の人から通報があったが近況を知らないかという。数年前脳卒中で倒れてからショートステイを利用したが、その後は財産関係で兄弟間が疎遠になって、近所の人とも口をきかない生活を送っていたから介護保険も使わない状態だったという。名前を聞くと、30年も前からカメラの修理や写真の相談に乗ってもらっていた知人だった。


自宅前に行くと、鑑識や警官が集まって家に入ろうとしていた。ガラスを割って窓を開けると亡くなって数日経っていたと警官が教えてくれた。集まってきた近所の人たちは、人嫌いで、近所づきあいがない、意固地な人などと言い合う。ケアマネも、頑固で変人、他人との交流をいやがり部屋に入れてくれなかったという。


私の印象とは全く違う彼の評価だった。確かに几帳面で潔癖症だったが、それだからカメラの修理や調整を任せられた。カメラのこととなると、はにかみながら熱心に語る顔が思い出された。


私たちは、病気やけがで誰かの手助けが必要な状態になってからの人しか知らない。その前に、どのような表情で仕事をしていたのか、話しぶりや同様な声だったのか写真などからでもわからない。今までの生活を知らずに「その人らしい人生」と書くことが怖くなった。

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