2012年8月13日月曜日

お盆

ひとり暮らしをしていた89歳のIさんが亡くなった。認知症があって料理は作れなくなっていたが、夕方訪問するとベランダの椅子に座って休んでいることが多かった。お父さんが一向に迎えに来てくれないといいつつ、隣の県に住む息子が定年になって帰ってくるのを楽しみにしていた。お盆に帰ってきた息子夫婦が素麺を料理して出したところ、のどに詰まらせて亡くなった。息子が帰ってから3時間の出来事だった。
棺の中の彼女はいつもの笑顔を浮かべて寝ている。帰省してから慌ただしく時が流れて涙も出ないと言いつつ息子が「おじいちゃんが迎えに来たのかね」とつぶやく。

もうひとりの認知症でひとり暮らしのFさんは、お父さんが出たきり帰ってこないとしきりと電話してくる。9年も前に亡くなったのに、お盆だからお父さんが帰ってきたのかねと婿は笑うが、娘は電話の度に「とっくの昔に死んだでしょう」と電話口で怒っている。

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