2012年9月27日木曜日

恋する瞳

80歳を越えるOさんは耳が遠い。自宅では、憂鬱な表情をしているか寝ているかのどちらかの生活で、典型的な老婆だと見ていた。デイに行き始めて1ヶ月。息子から、母は毎日喜んで通っている。毎朝、お化粧し明るい色の服を着て、デイの車が迎えに来ると、膝の痛みも忘れて飛び上がって外に出て行くという。
母は、デイの職員に片思いしているようなんですと息子は笑顔で話す。私が人を好きなったらおかしいだろうかと嫁に相談したらしい。あの人の奥さんはどんな人だろうか。どんな人が好みなんだろうかとも聞くらしい。母は、ヨン様のファンだったからどんなハンサムだろうとデイに見に行ったら、ガレッジセールのゴリさんにそっくりだった。頑丈で男臭い人が良かったのかもと笑いながら語る。
それで、その職員がいることを確認してデイを訪問すると、開口一番「私はここから変わらんよ」と言う。隣に座った人を交えてデイでの様子を話している時も、目はその男性職員を追っている。お化粧して、明るい色の服を着たOさんはまさに「恋する乙女」だった。

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