2013年4月7日日曜日

桜の花の満開の下

『母が死んだら報せて下さい、葬式はしなきゃならないから』と以前から言われていた。
朝 ヘルパーが訪問したとき様子がおかしくて今救急車で運ばれた、と電話すると『何か急ぐ書類がありますか?郵送して貰えたら助かるけれど』と返事をする実の娘。ドクターが電話口で 心臓マッサージしますか?力強くマッサージすると彼女の肋骨が折れて痛い思いをさせてしまう。家族さんが来るまで持ちませんよ。
結局間に合わなかった。十数年会えなかった実の娘に彼女は仏さまになったらやっと会えた。
『エメラルドにダイヤをあしらったネックレスが見当たらないけど、どこにしまいこんであるかわかりますか?』と電話してきた。『晩年の母はどんなふうだったか』とは一言も聞かず...家族にしかわからない確執があるから、私が娘たちに腹ただしさを覚えるのは筋違いだ...。
彼女がわがままで意地悪なのは知っていた。ヘルパーさんも訪問看護師さんも どれだけ彼女に泣かされたか分からない。それでも9年の付き合いだったから、彼女に会えなくなるのは淋しい。入院も入所も嫌だと言っていたから、希望通りの最期だったのかもしれない。
そう、彼女は 仏さまになって娘を許しているだろうから。いや、もうとっく何年も前から許していて 本当は会いたかったんだよね。
週末は花見に行こうと言っていたのに 行けなかった。去年は風邪ひいて花見に行けなかったから、近所の方にもらった桜の枝を部屋に飾ってあげたら嬉しそうにしていたっけ。94歳、独りで気丈に生き抜きましたね。救急処置室で まだ体温の残る彼女の髪を撫でた。お疲れさまでした。向こうに行ったら独りじゃないよ。おとうちゃんが待ってくれています。

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