2014年1月8日水曜日

昔は美人

昔はね、美人で、旅館の仲居ををしていた頃はお客さんからの心付けの方が給金より多かったんだから、というのがSさんの口癖だ。だからどんなに部屋が汚くても、スリッパで上がるヘルパーには目の色を変えて怒る。夏に予告なしで訪問すると、パンツにだぶだぶのシャツだけの格好で出てくる。万年床の枕元には、醤油や調味料を入れすぎてどぶ色になったカップラーメンと痰を拭いたティッシュが散乱している。去年の夏は、トイレに行こうとしてぎっくり腰になったものだから、救急車が着いた時は、床にはおしっこの水たまり、もがいて電話まで移動した跡には便の道ができていた。本人がいないからと部屋をそのままにして帰ったヘルパー事業所はその場でを打ち切って、別のヘルパーと一緒に大掃除した。だから、気を許すようになったのかもしれないが、下着だけで出てきて、昔は美人だった…は無いだろう。新しく作った入れ歯が見つからないから、以前の大きな入れ歯をはめて顔を出すと、おなかの皮を食い破って出てきたエイリアンと見間違ってしまう。
 仲居の仕事が忙しくなって帰りが遅くなったら、旦那が女を作って。悔しかったから私もお客と不倫したのよ。その時生まれたのが精神科に入院している○○子。
 新年一番の電話は、換気扇が動かなくなったから修理に来て……。ケアマネの仕事じゃないんですが。

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