80近い男性。紙おむつのままベッドに座って話し出した。あんた知っとるか。ここは養老院や。職員に言うと、そんな昔のことは知らん、老人ホームやと答えよる。老人ホームって言うけど刑務所と同じやぞ。風呂にも入れてくれて、トイレにも連れて行ってくれる。風呂にも入れてくれる。ワシが言うことを聞いてはくれるが、聞くだけや。だけん刑務所とおんなじや。死んでしまえば一緒や。
たしかに、私はここの職員より歳がいってる。しかしね、だからこそ今あんたがいるこの部屋。海が見える2階で個室。ベランダがあって、6畳はあるような部屋ではなかったよ、養老院は。平屋の長屋で共同の顔洗い場と便所。6畳に4人や4人で暮らしていた。天と地の差がある。
でも、建築の分類では、刑務所と老人ホームは同じ分類に入る。自由に外出ができず、日課が決められている。そこは、正しい。
一緒に集まって歌やゲームは嫌いだという男性と話していて、あなたは施設に入所できただけ幸運なんだ。だけど、不便でもいいから、好きなことをして暮らすのが一番という意見には同感すると言いたいが、職務上言えない。
でも、公園で野宿してた頃より良かったろう、というと、そりゃぁなと笑って答えた。

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