図書館の返却期限が迫っていることもあって、溜まっているレポートを脇に置いて、読書(現実逃避とも言うけど)する。
特別養護老人ホームの主任が、こんな本が出たら施設はやっていけない、と嘆いていた。しかし、その施設にショートさせている人が立て続けに転倒して入院になった。彼に、何か私に恨みがあるのか。転倒しているのは私の担当している人だけなのか、と苦情を言ったことがあるほどだから、彼が言うことはあながち嘘ではない。朝方立てなくなって診察したら大腿骨頸部骨折。出血があるから病院に連れて行ったら、入浴中に転倒したことが分かった。入院手続きの時に、病院看護師からどんな風に転倒したのですかと聞かれた、施設看護師は「分かりません。いつも付いている訳じゃないですから」と答えた。夕食後に急変してその夜に亡くなったのに、肺炎だったから仕方ないと。手帳を見て思い出せばもっとたくさんある。
確かに、職員は足りない。忙しくて、疲れている。家に居たって転倒する人は転倒する。何もなくても、交通事故で死ぬ人もいるのだから。そんなことは家族が納得するために言う言葉であって、施設側が言うことではない。家族は、自分で介護しなかったからこんなことになったのだと自分を責める。その心につけ込むことになる。
事故が嫌だったら施設に預けなければいいんだと、第三者は考える。パーキンソンの人やハンチントン病、動き回る認知症の人は断る施設が多い。職員が付きっきりで負担が大きいと言うけど、素人である家族が一人で24時間見なければならない負担と比べるとどうなんだろう。介護保険制度で介護を受ける権利が認められたと言うけども、相変わらず介護を手伝ってくれるという「恩恵」には変わりない。
読み終わって、書棚を見ると帯封が付いて買ったままの本がある。認知症の始まりもあるのか、いや、買っておいても損はない本だからと納得することにする。

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