2008年11月20日木曜日

お溝づとめ

今年もお溝づとめにお坊さんが来た。今年36歳の彼は一流大学の法学部を卒業し、エリート街道まっしぐらだったにも関わらず、先代住職であった父を昨年癌で亡くし、サラリーマンを辞め 跡を継いだのだ。
会社の中堅として  これからが腕の見せドコロと意気込んでいた矢先だった。
ほんとはまだ寺なんて継ぎたくなかった、だの お経なんて読んだこともなかったのに、だの 60歳くらいまでは好きな仕事をしたかったのに、だのと 不満を口にする。私は 天国で先代が安心されてますよ、だの 跡を継いでくれて檀家さんに喜ばれたでしょう、だのと ありきたりの慰めを言った。まさか自分が背広を脱いでこんな袈裟を着るハメになるとはと、彼は自分の胸から下を眺める。でも似合っているよ、と褒めたら ちょっと嬉しそうにした。
彼は やっと気を取り直してお経を読み始めた。嫌だ嫌だと 駄々をこねていたのに、一旦 仏壇に向かい合うと、お経を読む姿や声は先代にそっくりで  とても心がこもっている。いい住職さんになるだろうな、と思った。
お経を読み終えて カフェラテを飲みながら またグチグチと言い出した。お坊さんが「仕事が面白くない」とか「お経の意味がよくわかんなくて大変」とか言うんだから なんだか可笑しかった。
僕はどんなに寒くても絶対に袈裟の下にパッチは履かない主義です、とどーでもいいこだわりを語り、彼は仏壇に向かって深々と一礼して「じゃ!!」と帰って行った。

次の訪問先でも愚痴るのかしら?(笑)先代は とても立派で大きな方だったから、その分 大変だと思うけど、きっと大丈夫だよ。

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